今変えたいことに応じてつまみ食いで学ぶファシリテーターのなり方

ファシリテーション | 2018.11.25

2018.11.25公開 | 2018.12.9更新


「ファシリテーション」という言葉はだいぶ市民権を得てきたのではないかと思う今日この頃。

私は社内外の会議でファシリテーターとして務めることもあれば、ステルスファシリテーター(明確な役割としてじゃないけどファシリテーター的な役割をする人)として振舞うこともあったり、というビジネスシーンは勿論、コミュニティ活動の推進やイベントの場でファシリテーションを活用しています。

そう、「ファシリテーションを活用」。
ここで目的語たるファシリテーションの定義を日本ファシリテーション協会の定義から引用させていただくと

ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。その役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、会議で言えば進行役にあたります。

日本ファシリテーション協会 WEBサイトより引用

ということで、「育てる人」であるところの私は様々な活動を「育てる」上で常にファシリテーションを行っています。
ゆえに、私は自分をファシリテーターと自認しております。
(見る人によってご意見の分かれるところかもしれませんが。)

さて、そんな中

「ファシリテーターってどうなるの?」

最近ときどき受ける質問です。

私の場合、上記とおり自認はしておりますが、個人的にはファシリテーターはなるものじゃなくて目的に応じて帽子をかぶるものだと考えています。
そのくせ、敢えて自認しているポイントは「実践を経て認定を受けた(外からの見え方、ブランド)」「自分の強み、こだわりを知ってもらって、それを価値として欲する人に届けたくなった」という二点があります。
そこでこの記事では、上記二点に注目して私の今に至る経緯をふりかえることで「ファシリテーターってどうなるの?」という問いの答えになるか実験してみることにします。

この試みがどこかの天然ファシリテーター(ファシリテーションという概念は知らずにその役割を果たしている人)が目的を達成するための参考になれば幸いです。

始まりは「自分の周りの場を良くしたい」「自分の会議を良くしたい」

状態

システム開発現場のプロジェクトリーダー
現場の打合せの数が多い上に、グダグダに感じることが多い
打合せ続きの結果の残業で疲弊していくメンバーや、詰められ続けてメンタルダウンしていく仲間に、「仕事ってもっと心地よくできないのか?」と自問自答

踏み出したこと

いわゆる組織変革、風土変革本を読み漁ることから始めてました
特に最初に心に刺さったのが、「サラサラの組織」

「日本企業復活の鍵は、知識創造にある」という思いの下に生まれた企業内イノベーション集団KDI(富士ゼロックスKnowledge Dynamics Initiative)が、仕事のあり方を変革していこうとする企業人たちとともに、組織の「知」のめぐりを「サラサラ」にしていく物語と方法論を示した。

システム開発は知を創造する仕事、と考えていた私にとって、これこそが自分の仕事に必要なマネジメントだ!と雷を受けたような衝撃を受けました。
この後の学びの流れは、この本で「こんな組織を作りたい!」「知識経営ってすごい!」と舞い上がったところで定義づけられた気がします。

ではどうしたらその組織を作れる?というのを具体的に追求していった結果、可能性を感じたのが「ファシリテーション」。
会社の育成研修でさらっと流したときは基本的なビジネススキルだと思っていたのですが、もっと奥深いものなのではないか?と調べ始めました。

というわけで、ここからはいわゆるファシリテーション本(組織変革本も含まれると言えば含まれますが)を読み漁りました。
で、入り口はやっぱりこの本。

ファシリテーションを「使って」ビジネスを成功させるストーリー。
サラサラの組織で謳われた考えが成果にもつながる流れを具体的に見せてくれるビジネス小説です。
この本を読んで、自分の組織にもこんな変化を起こしたい!と思った方は間違いなくファシリテーションを学んだ方がいいと思います。

そして具体的に学ぶはじめの一歩はやはり堀公俊。
特にSI業界はその傾向が強いと思うのですが、ファシリテーションの要素要素はビジネスの中で学んできている人が多かったりします。
そんな人が改めてファシリテーションについて体系的に学ぶには最適な一冊かと。
「あ、普段何気なくやってるあれはこういう効果があるのか」「あの人の会議が心地いいのはそういうことか」といった発見があります。

引き寄せた仕事

この時点では新しい仕事ではなく、それまでの仕事の受け止め方が変わった、というところ。
それまでになんとなくやっていたリーダー業や会議での自分のふるまい方を意識するようになったことで、誰かのせいでつらいのではなく自分が場に影響を与えるのだという意識になったのだと思います。

知識を得たところで、ファシリテーターに会ってみたくなる

状態

本を読み漁って、なんとなくファシリテーションはこういうもの…とわかってきたものの、実際にはどんなものなのかまだピンとこない
何故なら、自分の現場にはここで描かれているようなファシリテーターがいない気がする

踏み出したこと

というわけでファシリテーターに会いに行くことにしました。
「日本ファシリテーション協会(以下FAJ)」と名乗るからにはファシリテーターがいっぱいいるのだろうと、FAJ主催のファシリテーション基礎講座に参加しました。

この講座はファシリテーション本の概要を実際に演習を交えながら学んでいくもので、講師にはファシリテーション協会の会員が立ちます。
会いたかった「ファシリテーター」との出会い。

その後、私もFAJに入会しているので、その思いは推して知るべしw

プログラムとしても非常によくできていて、入り口としても復習としても良い場だと思います。
世にあるファシリテーション研修の中で、このクオリティを2万円で提供しているのはかなり破格ではないかと。
短い時間(1日講座)で体系的に学んでみたいという方には自信を持ってお勧めします。

その後は、会員として定例会に参加して様々な手法を学んだり事例を交換したりしながら、持ち帰ったことを現場で試すという時期を過ごしました。

引き寄せた仕事

さらに仕事の受け止め方が変わり、自分が進行役じゃない場面でもファシリテーターとしての意識をもって関わるように。(ステルスファシリテータ-)
自腹で講座も受けて、使わなきゃ何のために行ったのか!と自分を奮い立たせることができたとも言う。
そうしていくうちに、学んだスキルを使って「サラサラの組織」を創るためにこんな場も創りたい…と自ら場をつくるようにもなりました。
部内の教育担当というポジションを生かして、勉強会の場を創ったり、部内の風土改革委員に手を上げてランチミーティングを始めたり。
仕事じゃないけど、会社の未来を考えるゲリラランチミーティングなんてのもやってました。はたかくゲリラ(*´ω`)

ファシリテーションを「使って」未来を創りたくなる

状態

ファシリテーションはもっと追及して深めていきたいけど、そもそも学びが目的じゃなくて自分の現場を変えたいんや!
でも現場の一メンバーにできることなんてたかがしれてる
自己満足でしかないんじゃ?とモヤモヤ

踏み出したこと

実際には前項と重複する時期ですが、「フューチャーセッション」という考え方を知ります。

多様なステイクホルダーを集め、未来思考で対話することで協調アクションを生み出していく場。
ここでまた私は雷に打たれます。

ゲリラで対話するところから一歩進んで、アクションを生み出したい!

というわけで、フューチャーセッションをコーディネートして社会変革を起こしていきたいファシリテーター=イノベーションファシリテーターを育成する講座に参加しました。

ちなみに、この講座の費用は30万。
ということで、当時の私のスケジュール帳上は、この講座の日は30万と書いてありましたw
30万投資したら実践せずにはいられない。

というわけで、「リモートワークで自分らしく働く未来」や「地方で素敵に働く未来」などのテーマでフューチャーセッションを開きました。
一度として繰り返しはなくて、毎回新しいチャレンジ。
なので、正直毎回なんでやると言ってしまったのか…(;´Д`)と毎回ガクガクブルブルしていました。
でも、やらなければ何も起こらない変化が、アクションすることで少しずつでも起こる。
だからやらずにはいられない。
そして、決して一度で大きな変化なんて起こりません。だから継続せずにはいられない。

そうして続けたことで、イノベーションファシリテーターとして認定を受けることができました。

引き寄せた仕事

講座で出会った仲間、開いたセッションで出会った方々。
それがつながって次の場がどんどん生まれています。
また、認定を受けたことで会社の提案でも堂々と?ファシリテーターとしてこういう効果を果たします…と書くことができました。
(提案を受けた人がその認定の内容を知っていたかというと多分知らなかったでしょうが、なんかやってんだな、くらいの効果はあったのではないかと。)

また、活動を通して出会った方からファシリテーターとしてのお仕事をもらったり、ファシリテーターとして話をする場に読んでいただく機会も増えてまいりました。

「ファシリテーターってどうなるの?」

改めて、この問いに戻ります。
私の例はあくまで一例。
その人その人の状態、実現したい想いがまずあって、それを自覚すると適したやり方に出会えるのではないかな…と思います。

というわけで、もし私の通ってきた過程に似た想いを抱いている人がいたら、是非それぞれの手段をあたってみてください。
私でよろしければお話をお聞きしたり、また私自身の事例をより詳しくお話しすることもできます。
是非皆さんの興味関心を育ててみて下さい!