プロジェクト管理を学べるボードゲーム「 プロジェクト テーマパーク 」でいい感じのプロジェクトを探ろう

場づくり実験 | 2019.5.6

2019.5.6公開 | 2019.5.6更新


プロジェクト管理を学べるボードゲーム「 プロジェクト テーマパーク 」を使って、日本の「プロジェクトマネジメント」のハードルを下げよう!
そんなヌーラボ様の企画に参加させていただき、「 プロジェクト テーマパーク 」を入手いたしましたので、さっそくPM女子とプロジェクトを遊ぶ会をやってみました。

いい感じのプロジェクトを探求したい私にとって、ボードゲームを遊びながらプロジェクトマネジメントのノウハウを体験することができる「 プロジェクト テーマパーク 」はとても魅力的なツールでした。
そこで、その魅力と、これからプロジェクトマネジメントのハードルを下げるために一緒にやってみたいことをまとめておきます。

「 プロジェクト テーマパーク 」遊ぶ前に、プロジェクトマネジメントとは

そもそもプロジェクトって何だっけ

プロジェクトとは、「目的」と「目標」、「期限」が定められた「繰り返しではない」活動として定義されます。

繰り返しではないので、常にそれぞれのプロジェクトにおいて独自の要素が存在します。
故にこういうときはこう動け、という鉄板のマニュアルに頼ることはできません。
それぞれの状況下で、限られた資源を活用して、プロジェクトの目的と目標達成に向けた「チームとしての判断」を実行していく必要があります。

勿論その判断は一度きりではありません。
プロジェクトが続く間は、常にプロジェクトの状況を分析し続け、チームとしての判断を行い続けることになります。
自分一人の判断ですら難しいのに、チームとしての判断をし続ける難易度なんて言うまでもなく…。
そんな悩みを抱える全国のマネージャー、リーダーの助けとなるのが、コラボレーションツールです。

プロジェクト管理ツール「backlog」とは

プロジェクト テーマパーク の発行元である株式会社ヌーラボ様は、プロジェクト管理ツールbacklogを始めとするコラボレーションツールの提供しています。

その代表サービスであるbacklogは、

  • プロジェクトで発生するタスクを登録・期限設定して
  • 担当者をアサインして
  • タスクが予定通り達成されているかをチェックして
  • 今のペースの進行で目標達成できるかを確認して

…といったプロジェクトの流れをスムーズに進めていくために、皆で情報共有していきたいことの可視化を実現してくれます。
簡易なUIで導入しやすいので、様々なプロジェクトで活用されていて、私も何度もお世話になっております。

ただ、便利なサービスもあくまでツールなので、使う人次第。
チームの中でプロジェクトに対する意識がバラバラの状態では、その便利な機能も使いこなすことができません。

  • プロジェクトのタスクはどのような粒度、どの程度の期間で設定するのか
  • 担当者はどのような基準でアサインすべきか
  • タスクが予定通り達成されているかは何をもって図ることができるのか
  • そもそも目標達成(ゴール)をどのように定義するのか

このようなプロジェクトに対する考え方をすりあわせていくことが事前に必要になります。
(プロジェクトによってはチケット警察がいて、この辺りの粒度あわせに奔走しているようなこともありますね)

そんな事前の意識合わせプロセスはどうしても地道になってしまうので、楽しくやる手段があるとよいなあと思っていたところに現れたのが、 プロジェクト テーマパーク !

「 プロジェクト テーマパーク 」やってみた

プロジェクト要素がいろいろ隠れてる「 プロジェクト テーマパーク 」

ボードゲーム「 プロジェクト テーマパーク 」は、テーマパークを建築するという「目標」を、6ターン(1ターン1か月の比喩)の「期限」で達成するというプロジェクトをゲームにしたものです。
プレイヤー間で競うのではなく、チームで一つのプロジェクトを完遂させることを目標にしたゲームですね。

プロジェクトの独自性は「成果物」「人的リソース」を示すカードで表現されています。

成果物定義はしっかりと!

建築する「成果物」であるアトラクションは、列に並べたカードを前から順に建築していきます。
カードの左上に書かれている数字は「何をしたらこの成果物をつくれるのか」という完了条件を示していて、この条件に沿ったサイコロの目を出す必要があります。
数字が大きくて一人では作れない(一回のサイコロでは作れない)ものや、ピタリ賞で確率的に難しいものなど難易度はそれぞれ。
作るのに時間がかかるものがあると、期間内に目標達成できなくなってしまいます。

ということで、難易度の高いものを見極め、それをどう攻略するか(あるいは作らないという選択をするか)というクリティカルパスの見極めをチームで議論していくわけですね。
議論するためにはぱっと条件がわかることが大事、ということでチケットには「作りたいもの」と「完了条件」の明記が重要だということを体感できます。

メンバーの個性とやる気を大事に!

プレイヤーを示すキャラクターカードには、「あーこういう人いるいる!」な愉快なメンバーがそろっています。

  

優秀だけど心の折れやすい「完璧主義者」くんとか、奴が動くことで周りのやる気を奪っていく「トラブルメーカー」とか・・・過ぎ去りしプロジェクトの誰かの顔が過る方多いんじゃないでしょうか。

タスクに応じて様々なスキルを使い分けられる「エース」や、安定して任せられる「鉄人」だけでプロジェクトを回せたらイージーモードかもしれないけれど、そんなチームは存在しないんです。

いると空気が和んでなんか仕事がうまくいく「愛されキャラ」や、やる気だけが取り柄に見える「新人ちゃん」なんてメンバーも。

このゲームの良いところは、基礎ステータスが低くて一見お荷物に見える「新人ちゃん」にも、その特性を生かした活躍のシーンが用意されていることです。
局面によっては、新人ちゃんだからこそできる仕事が見つかって、先輩方の期待を一身に背負って新人ちゃんが頑張るなんてお仕事ドラマのクライマックスみたいなシーンも見られます。

また、もう一つ重要なのはどんなメンバーでも、等しくやる気は減っていくということ。

大事なことなのでもう一度言います。

働いたらやる気は減ります。
やる気は有限です。

根性だけではデスマーチは乗り切れません。

やる気は減っていくのだという前提のもと、その中で目標を完遂するための戦略をチームで練ることが重要です。
現実世界のプロジェクトではついつい見ないふりしちゃいそうな当たり前のことを プロジェクト テーマパークは教えてくれます。

プロマネ軍団でやってみた

そんな色々なことを教えてくれる プロジェクト テーマパーク を、日常メンバーを率いてプロジェクトをリードするプロマネ軍団4人でプレイしてみました。

コンサル、業務システム開発、アプリ開発と活躍するフィールドはそれぞれですが、皆プロジェクトマネジメントの基本は体に染み込んでいるメンバーですので、ルール確認の間にも「これはクリティカルパスを意味してるんだね」などとゲームの構造を分析したり、どこかの誰かを思い出すキャラクターに苦笑したりとマニアックな楽しみ方に興じます。

また、穏やかで様子を見ながら進めるタイプかと思ったPM女子が「回転ブランコをつくろう!」と方向性を高らかに宣言するリーダーシップを見せたり、淡々と状況を分析するコンサルさんがいたり、プロジェクトでの表情が覗き見えるシーンもあり、興味深かったです。
議事プロジェクトを共にすることで、一人ひとりのプロジェクトに対する考え方が見えてきますね。

難易度低めに調整した1回目は難無くクリア!

そこで2回めは、相談をできない「サイレント」、連携作業できない「マイペース」、「トラブルメーカー」、「新人ちゃん」というというどMプレイで進めてみました。
プロマネなんて皆どMですよ。。。

イベントカードも曇り・雨(マイナス効果のあるイベント)に寄せたら、さすがにどM過ぎて、12月頃から「これはリスケが必要じゃないか?」という気配が漂います。
「手堅く進めて顧客の信頼をためよう!」というモードに。プロマネチームなので強かです。

そして狙い通り、ぎりぎり3月でリスケして4月に建築完了!

プロジェクト目標は達成したのですが、プロマネチームとして気になったのは・・・

「1か月前のリスケとか顧客の心象悪すぎだよねw」

ゲームルール上はどのタイミングでリスケを宣言しても下がる信頼度は一定なのですが、リアルを追求するならリスケ申告のタイミングによって信頼度が変わると面白い、なんて話で盛り上がりました。
「顧客」というロールを明示的に作って、顧客との交渉や共同作業を組み込んでは?と、ステイクホルダーマネジメントの要素が気になるプロマネチームでした。

その他感想は以下の通り。

  • 先の見通しを立てることの重要性を認識できた
  • 計画の立て方からプレイヤーの特徴を見ることができた
  • プロジェクトメンバー内のコミュニケーションに良さそう
  • 計画パートと実行パートを繰り返すので、計画と実績の差に注目できる

エースと新人ちゃんとやってみた

プロマネ軍団から、プロジェクトの要素を体験できるとお墨付きをいただいたところで、次はプロマネ専門職じゃないメンバーにプロジェクトマネジメントを体験してもらえるか?の検証です。

優れた研究者の側面とデータサイエンティストとエンジニアリードと幅広く活躍するエースさんとシステムエンジニア2年目の(元)新人ちゃんと一緒にプレイしてみました。

心なしかプロマネ軍団の時よりも「ガンガン行こうぜ!」なプレイスタイルで進み、1回目は納期前に信頼度が尽きてゲームオーバーになってしまいました。

苦い経験を経て、ふりかえりでは、「チームバランスや施工順序が大事だね」という対話がなされました。
つまり、「プロジェクト計画をちゃんと立てよう!」という学びです。

そこで2回めは予定成果物(アトラクション群)を見て、メンバーアサインからじっくり検討するというプロセスをとりました。
少しだけ難易度も低めに設定し、見事予定期間で目標達成!
プロジェクトを完遂させる気持ちよさを味わっていただきました♪

その他感想は以下の通り。

  • 想定外のイベントが発生し、リアルな現場が再現されている
  • メンバーを教育する仕組みがあると面白いかも
  • 複数チームで同一の建設目標に対して競ってみたら面白そう
  • クライアントの性格みたいな要素もあってもいいかも
  • 役割カード1セットで複数プロジェクトを並行でやるマルチプロジェクト形式も面白そう

「いい感じのプロジェクトをもっと増やす」に向けて

ひのきの棒と布の服とプロジェクト テーマパークで始めるプロマネ

プロマネ経験者でも、未経験者でもそれぞれ気づきを得られる プロジェクト テーマパーク。
その気づきを、具体的なプロジェクトの現場に生かす知識と紐づけて現場に持ち帰ってもらうところまで出切れば、現実のプロジェクトももっと楽しめるのではないでしょうか。

というわけで、「初めてプロジェクトマネージャーを務める人」や「プロジェクトマネージャーではないけれど、プロジェクトワークをいい感じに進めていきたい人」向けにプロジェクトマネジメントのエッセンスを知ってもらう「ひのきの棒と布の服からはじめるプロマネ講座」と連動した企画をつくってみたいと妄想しています。

その他遊びながら楽しむスキルトレーニング

プロジェクト テーマパーク以外にも、ビジネス上で問われるコミュニケーションや戦略思考、そしてそもそもの課題を問う課題設定能力に気づきを得られるゲームは色々あるようです。

マーケティングを学べるMarketing Townや

SDGsの道のりを体験するカードゲームなんてものもあります。

そんな手段を通じて、「働くを楽しむ」ためのスキル開発に楽しく取り組んでいきたいですね。